第43回日本呼吸療法医学会学術集会

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ご挨拶

 このたび、第43回日本呼吸療法医学会年次学術集会会長を拝命し、大変光栄に感じるとともに、その重責に身が引き締まる思いです。
 研修医の頃は、ARDSという語がやっと認知され始めた時代でした。人工呼吸に関する研究も少なく、「呼吸不全の患者さんを何とか治したい」という思いだけで試行錯誤の連続でした。治療の甲斐なく、失う症例も多くありました。
 この30年ほどの人工呼吸療法の進歩には、目を見張るものがあります。人工呼吸の方法だけでなく、疾患の病態解明や関連する治療なども含めて多くの知見が積み重ねられました。その一方で、post-intensive care syndrome(PICS)のように新たな問題も浮上してきました。
 現在、呼吸療法は大きな転換点にあるように感じています。新たな換気モードの開発など従来の研究は一定の成果を生み、付随する治療も含めて呼吸療法は確固としたものになってきました。その上で、単に救命するだけの治療から、より快適な治療や回復後のADL向上にも重点が置かれるようになってきました。また、一時下火となっていたECMOが見直され、呼吸療法全体の流れが再編されています。このような状況を鑑みて、本学術集会のテーマは「次の時代へ」とさせていただきました。今までの知識・技術を整理し、新たな時代の幕開けにしたいという気持ちを込めました。
 もう一つ、世代交代を促して若い力や柔軟な考え方を取り込み、呼吸療法をさらに活性化しようという意図もあります。プログラムの中に、多くの若手医療者・研究者を登用しました。今後を担っていくであろう人材を、温かく見守りたいと思います。
 学術集会は、2021年7月3、4日にパシフィコ横浜会議センターで開催します。新興感染症拡大の勢いは止まらず、予断を許さない状況ですが、現時点では延期や中止は考えていません。現地開催+後日のオンデマンド配信で準備を進めていますが、最悪の場合は完全WEB開催となる可能性もあります。皆様の安全と感染拡大防止に最大限配慮しつつ、学術集会の使命を果たすべく柔軟に対応していきたいと考えています。
 学術集会には、学術イベントの催行だけでなく、会員の親交を深める場を提供するという重要な要素もあります。遠方から横浜に来ていただいた方々を歓迎するために、今回も多くのサテライトイベントを計画していました。しかし、昨今の状況はそれを許さないものがあります。そこで、今回は学術集会本来の目的に特化して、シンポジウム系と教育講演の2本柱のプログラムとしました。最先端の知見はシンポジウムでディスカッションしましょう。知識の整理には教育講演を活用してください。教育講演は、医師向け、医療スタッフ向け初級・中級の3列を用意しました。多様な職種、ベテランから若手まで、幅広く満足していただけるものと確信しています。土日を丸々利用したセミナーに参加するという考えの方も大歓迎です。
 多くの方々にご参加いただき、「呼吸療法」の発展・普及に役立てていただきたいと考えています。

2021.1.25
第43回日本呼吸療法医学会学術集会
会長 大塚将秀
横浜市立大学附属市民総合医療センター 集中治療部

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